狂喜と快楽と…

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那智に腕を掴まれながら やってきた静流に声をかける 「久しぶりだね」 「胡蝶…」 逃げようとする静流の腕を捕まえる 「何故逃げる」 「貴方には会いたくないから」 「ごめん」 『胡蝶、俺達向こうの席にいるよ』 星羅が気をきかせて言った 「大丈夫か?」 『那智がいるから』 「はぁ?お前と2ショかよ~」 『嬉しい?』 「あ~嬉しいよ、恋敵と一緒に飲めて」 『まだ胡蝶の事…』 「んな訳ないだろ!」 『ふ~ん…でも渡さないよ? 「お前…根性悪いな」 『ふふっ』 「まぁ、いいや」 二人は席を移動して行った 静流を座らせて言う 「俺のせいだよな」 「さぁね…どうかな」 「他に理由があるのか?」 「自信過剰だね」 「そうじゃない…他の理由があるならもう何も言わないよ」 氷が溶けた水割りを 一口飲む 温い水割り程まずいものはないな 静流が立ち上がり、氷を持ってきた 「お前はいつも気がきく奴だよな」 「そう?俺も飲みたいから持ってきただけ」 「そっか」 言葉とは裏腹に 水割りを作ってくれる 「ありがとう」 「うん」 「もう、花作りはやめたのか?」 「うん」 「そうか…残念だな」 「あんな田舎に居ても、気が滅入るだけだしね」 「あの紫陽花は綺麗に咲いてるよ」 「そう…」 「お前のやることに口だしするつもりはないけど、自分を大切にしろよ」 「関係ないだろ」 「まぁな」 「何なんだよ…忘れられた頃に突然現れて…」 「ごめん」 「だけど忘れられないんだ…いつも胡蝶の面影を求めてしまう…そんな事しても無駄なのに……」 「静流…」 「誰でもいいんだ…胡蝶に似ている人なら」 「俺にはどうする事も出来ない…お前を悲しませる事しか出来ない」 「胡蝶…」 「ほんとごめん…」 今は謝る事しか出来なかった 優しい言葉は静流を傷付けてしまうから 謝る事しか 出来なかった
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