狂喜と快楽と…

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「あの…」 「二人きりになれる所だ」 那智が連れて来たのは ビルの屋上 昼間とは違う顔を見せる 街や人々 「お前はさ…こんな世界は似合わないよ」 ビルから見える夜景を 見ながら言う 「確かに似合わないかもね…でも、一人は寂しいから」 「寂しいから誰とでも 寝るのかよ!」 「誰とでもじゃないよ」 「ごめん」 「でも、似たようなものかもね」 「まだ好きなんだろ?」 夜景を見つめる静流に 聞く 「好き…なのかな」 「そっか」 「でも、星羅には勝てない」 「まぁな…俺も泣いたし」 「えっ?」 「あはっ…俺も胡蝶に フラれた一人だからさ」 「そうだったんだ」 「あいつらの中には 入り込めないよ」 「わかってる」 「じゃ、あの二人の事も?」 「うん…兄弟って事も」 「そっか」 「ホントに好きだったのに…」 静流は泣いていた いつも一人で泣いていたのかも知れない そんな細い肩を抱きしめながら言った 「一人が寂しいなら俺が傍にいるよ……だから、 一人で泣くな」 「初めて会ったのに、 優しいんだね」 「初めてじゃないけどね…俺はあの店にはよく行くし、静流の事は知ってたよ」 「そっか」 「だからさ、もう無茶な遊び方はやめろ」 「忘れる事が出来るかな」 「俺が忘れさせてやるよ」 「うん」 「うん」 二人きりの場所で 初めてのキスをする 「静流、そんなに口を閉じてたらキス出来ない」 「だって…恥ずかしい」 「ちょっと…それは反則技だな」 「えっ?」 「本気のキスがしたいって事」 フェンスを両手で掴み 静流を見つめた 「あっ…」 「逃がさないよ?」 「うん」 静流を抱き寄せ、 長いキスをする 舌がしびれる程のキスをしながら零れ落ちる唾液を指で拭う 「もう…ダメ…」 「まだこれからだよ」 体を支え、激しいキスを繰り返す それだけで満たされる 今はそれだけで幸せ
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