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家に戻ってきたら
店の前が騒がしかった
何気なく人だかりに
近付く
「これは…」
『酷い…』
店のシャッターに赤いスプレーで殴り書きが
してあった
(変態兄弟)
(気持ち悪い)
(この店の二人は男同士でできてる)
何かされる予感はあったが…
『酷いよ…誰だよ…』
星羅は泣きながら、手で消そうとしていた
「やめろ…シャッターは開けておくよ…明日業者に頼むから気にするな」
『だけどっ!』
「行こう」
泣きじゃくる星羅の手を引き、家にもどる
「お前は泣かなくていいんだよ」
『だけど…』
「それくらいの覚悟はしていたさ」
『胡蝶…』
そう
覚悟はしていた
星羅が無事ならそれでいい
(ガシャン!)
店から聞こえた
『胡蝶…』
「お前はここに居ろ」
急いで店に戻る
ガラスは割られていた
「参ったな…」
シャッターは開けるべきではなかった
「ちょ!何があった?」
那智と静流が仲良くやってきた
「いや、何でもない」
「ガラスが割れてるのに何でもない訳ないじゃん」
「嫌がらせ?」
「まぁな…」
「大丈夫かよ?」
「俺は大丈夫だよ」
「無理するな…死にそうな顔だぞ」
「はは…」
いつまで続くかわからない嫌がらせ…か
「星羅は?」
「家に居る」
「これじゃ、家に居るのも危険だな」
「そうだね…」
「だよな」
「今夜はどこかに泊まれよ」
「いや、シャッターを閉めるよ」
苦笑しながらシャッターを閉めた
「これは…」
「ひどい」
「参ったよ」
「ちょっと待ってろ」
那智は走ってどこかに
行ってしまった
「大丈夫?」
静流が心配そうな顔を
していた
「それよりも、那智とうまく行ったみたいだな」
「うん」
「そっか…頑張れよ」
静流は照れ臭さそうに笑う
那智は仲間を連れて、落書きの上からスプレーで絵を描いてくれた
有り難くて涙が出そうになる
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