3950人が本棚に入れています
本棚に追加
柄の悪そうなお客が
やってきた
「いらっしゃいませ」
「しけた店だな~」
「だよな~」
「何をお探しですか?」
「探してるものは…」
「ああ、こいつ」
『えっ?』
「やめて下さい」
「うるせ~よ!」
(ガシャン)
肩を押されて、ガラスケースに思いきりぶつかった
「つっ…」
『静流!』
「ほら、来い」
『嫌だ!ふざけんなよ!』
「暴れるなよ」
『いっ…』
腕をねじられて、無理矢理歩かされた
「…星…羅……」
「その手を離せ」
『胡蝶!静流が』
「今、那智も来る」
「静流!大丈夫か?」
「ああ…大丈夫」
「てめえら…殺す!」
「そんな勇気もないだろ?」
(グサッ)
「なっ…?」
「そんな勇気がなければ、店なんかやってられないんだよ…」
ハサミを腕に突き刺しながら静かに言った
『胡蝶…』
「次に会ったら心臓を突き刺す」
「わ、わかった…」
「謝れ」
「悪かった…」
「あの女に伝えろ、見つけたら必ず殺す」
「わ、わかった…わかったからハサミを抜いてくれっ…」
「ふん」
無造作にハサミを抜く
「ギャ!」
「出ていけ」
「は、はい」
(ガシャン)
ハサミを床に落とし、
星羅を見つめた
「大丈夫か?」
『俺よりも静流が』
「大丈夫だよ、少し怪我をしただけだから」
『静流…』
「もう明日からは来るな」
「嫌だね!」
「静流!」
「今日は油断したけど、今度は大丈夫」
「だけど」
「いいよね?那智」
「止めても聞かないだろ」
「ああ」
『じゃ、心配だから那智としばらく一緒に住んで』
「えっ?」
『一人はダメだよ』
「俺はいいけど…」
那智は静流を見る
「俺も迷惑じゃなければ」
「わかった、じゃそうしよう」
「うん」
こうして那智と静流は
一緒に住む事になった
最初のコメントを投稿しよう!