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空は清々しい位、晴れていて雲は風に乗って、ゆっくり流されていく。
年末から実家で過ごし、休みが明けて学校に行けば教室に入った瞬間、仁は友也に飛び付かれた。
「リーダーっ!」
「ぅわっ....危ねぇ」
助走付きで全体重を掛けて飛び付いてくるから危うく倒れそうになり仁は必死に足を踏み締める。
どうにか転倒を免れ、ホッとするが相変わらず手加減を知らない友也に小さく溜め息を付く。何度、言っても、何度、頼んでも中々、手加減してくれない友也に半ば諦めモードだった。
仁は友也の背中を優しく叩くと「おはよう」と声を掛け「どうしたんだ?」と尋ねる。
「何でもない。ただリーダーに会うのが久し振りだったから」
友也は顔を上げると、そう言って満面の笑みを零す。
その子供みたいな笑顔に仁は困ったように笑い「そうですか」と返した。
破天荒と言うか無茶苦茶と言うか、いつでも元気いっぱいな友也に「犬っぽいよなぁ」と、声には出さず、こっそり呟く。
「取り敢えず、俺は座りたいんだけどな...?」
「あっごめん、リーダーの席も、ちゃんと取ってあるよ」
「サンキュ、友也」
嬉々とした声を上げる友也に手を引っ張られながら仁は短く返した。
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