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友也は久し振りに仁に名前を呼ばれた事が嬉しくて何だか照れ臭くなる。思わず「へへっ」と笑えば背中から「何だ?」と言う少し怪訝そうな声が聞こえた。
「何でもなぁーい」
「変な友也だな...休み呆けか?」
「違うーっ」
小さく笑い、意地悪な事を言う仁に友也は膨れっ面で振り返りイーッとする。
そっぽを向けば背中で仁が「クックッ」と笑うのが分かった。
友也は笑われた事にムゥーっとなるが仁と一緒に居られる事が楽しくて、つられるように笑う。だが、すぐに笑顔が消える。
やっぱり仁が好きだと改めて思い、傍に居たいと思うが友也には胸の奥に引っ掛かるものがあった。
その事を考えると不安で押し潰されそうな程、怖くなり、言い様の無い、気持ちが押し寄せる。
友也は、繋いでいる仁の手を強く握り締めた。
「友也...?」
急に手に力を籠められ仁は不思議そうに呼び掛ければ「何でもない」と返ってくる。
何処か変だと感じたが調子が悪いわけでは、なさそうだと思い、一先ず「そっか」と受け流した。
「ねぇ...リーダー?」
「ん?何だ?」
「...俺の事...嫌い....?」
突拍子もない友也の問い掛けに仁は思わず「は?」と呆気に取られた声を出す。
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