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「本気で口説きますが、いいんですか?」
「...いいよ」
「分かりました。絶対、好きにさせてみせますから、覚悟して下さいね」
真っ直ぐな低い声で言われ一瞬、ドキッとする。
友也は僅かに頬を染め、微かに頷くと「琢磨さん以外、考えられなくして」と零す。
それは琢磨にとって最高の口説き文句で思わず頭がクラクラした。
可愛くて、力任せに抱き締めたくなるのを必死に堪えると、擽るように頬を撫でる。
「あんまり可愛い事、言うと襲いますよ?」
「.....襲ったら噛み付くからね」
「それは嫌ですね」
僅かに潤んだ瞳で睨まれ、琢磨は困ったように笑うと、両手を小さく上げ「降参」の意を表した。
友也は、それを見て可笑しそうにクスクスと笑う。
二人の間に暖かい空気が流れ、何処か和やかな雰囲気が漂う。
友達とも恋人とも違う、柔らかな空気が、そこにはあり、琢磨と友也は顔を見合わせると同時に小さく笑った。
「友也くん」
「はい?」
「好きですよ」
「ばっ....」
いきなりストレートに言われ、友也は一気に耳まで赤く染める。
「馬鹿!」と声を上げる代わりに琢磨の肩を力一杯、叩き、そっぽを向くと、「いきなりは反則!」と拗ねたように零した。
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