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朝、目覚まし時計の音で目を覚ました玲志はアラームを止めると、のっそりと起き上がった。
小さく欠伸をし眠たそうに目を擦る。
何気無く横を見るが隣には誰も居なく、仁が居ない事が寂しくて堪らなくなった。
「この間は隣に居たのに」と思うと胸が苦しくなりキュッと唇を噛む。
「仁....毎日、一緒に居たいよ」
玲志はボソリと呟き、思わず泣きそうになる。
「毎日、一緒に居たい」「一緒に暮らしたい」と思うが、それを言葉にしてしまったら仁を困らせてしまうと分かっているから言えなかった。
何度も喉まで出掛かり、その度、必死に飲み込んだ。
玲志は寂しいという思いを振り払うようにベッドから降りると直ぐ様、着替える。
「ジン...お散歩、行くよ」
足元に戯れ付いている愛犬に、そう言えばジンは一吠えだけして千切れんばかり尻尾を振り、喜びを表現した。
玲志は小さく笑いながら二枚も三枚も洋服を着込むとジンにも犬用のジャンパーを着せる。
そして、お散歩セットを持つと静かにドアを開け、家を出た。
冬の早朝は一段と気温が低く外に出た途端、冷たい風が一気に体を包み、思わず「寒っ」と零す。
玲志は両腕を擦ると「行くよ」と声を掛け、ジンと一緒に階段を降りた。
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