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暫く物色していれば新商品と書かれた、チョコレート菓子が目に止まる。
見てみれば「チーズケーキタルト」と書かれていて、玲志は思わず小さく笑みを零すと、おずおずとソレを手に取った。
「仁、好きそう...」
「持っていったら喜んでくれるかな?」と思い、僅かに頬を染める。
仁の事を考えるだけで胸が高鳴り、幸せを感じて、無意識に笑みが零れてしまう。
玲志は、それ一つをレジに持って行き、会計を済ませると、逸る気持ちを抑え、僅かに心、弾ませながら店を出た。
もう既に怖いという気持ちは無くなっていて「おいで」とジンを呼び、いそいそと家路に着く。
アパートに着き、階段を上っていた時、ふと、また嫌な感じを覚えた。立ち止まって振り返り、辺りを見回してみるが、やっぱり誰も居なかった。
「気のせい.....だよね....」
玲志は「思い過ごしだ」と自分に言い聞かせると急いで階段を上がり部屋に入ると直ぐ様、鍵を掛ける。
鼓動が激しく動悸し、息苦しくて呼吸が乱れる。
折角、少し忘れ掛けていた嫌な記憶が鮮明に甦り、不安と恐怖が一気に押し寄せ、玲志は息を飲んだ。
「気のせい....気のせいだ...」
「大丈夫」と必死に言い聞かせると学校に行く準備をした。
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