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放課後。いつもの溜まり場に行けば武蔵達は、もう来ていた。
「よおっ」と手を上げる武蔵に「おぅ」と返し、同じように軽く手を上げる。
仁は相変わらず仲良しモード全開の武蔵と柚琉の横をすり抜けると、一人、ソファーでユキと寛いでいる玲志の隣に腰を下ろした。
「おはよう、玲志」
「おはよう...」
返ってくる少し照れ臭そうな柔らかい声に仁は小さく微笑み、そっと玲志の前髪を梳く。
指先を滑る柔らかい髪は何度、触っても心地好く気持ち良かった。
「体...休まったか?」
声を僅かに落とし、そっと問い掛ければ玲志は無言で小さく頷いた。
仁は「本当?」と静かに聞き返し、もう一度、頷いたのを確認してから「それなら、いいんだ」と安堵しホッと肩を撫で下ろす。
「仁は...?体、平気?」
「ん...平気だよ」
「そっか....」
玲志は何処かホッとしたように笑い膝の上で寝ているユキの躰を優しく撫でた。
だが、視線を落とした時、ある物が目に入り、不自然に手が止まる。
その手の薬指には仁から貰ったキラリと光る指輪があり、思わず頬を染める。まだ、見る度に色々と思い出してしまい、恥ずかしくて照れ臭くて、でも嬉しくて、気を抜くと顔が緩んでしまう。
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