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玲志は赤くなった顔を隠すように慌てて俯き、無意識にユキを尻尾を「キュッ」と握った。
いきなり、そんな事をされたユキは驚き、耳をピンッと立てると、手から逃げるように尻尾を振り、振り返る。だが、掴んだのが玲志だと分かると本能的に出した爪をそっと、しまう。
「ご、ごめん...ユキ」
申し訳なさそうに謝ればユキは「別に、いいよ」と言うかのように可愛い声で鳴いた。
玲志の反応を、これっぽっちも見逃さなかった仁は僅かに目を伏せ小さく笑うと静かに腕を伸ばし、そっと頬に触れる。
「真っ赤...」
「ぁ....これは...その...」
からかい混じりに言われ、玲志は小さくなり視線を泳がせると困惑した表情で、上目遣いに仁を見上げた。
言い淀み、益々、頬を赤らめる玲志が可愛くて思わず抱き締めたくなった。
伸びそうになる腕を必死に堪えると仁は何処か可笑しそうに笑い「冗談だよ」と零す。宥めるように優しく髪を撫でれば玲志は少しずつ落ち着いてくる。
「仁の意地悪...」
「ごめん、自覚してるよ」
ぼそりと呟かれた言葉に仁は困ったように笑い「ごめんな?」と、もう一度、謝った。
玲志は「今日の、ご飯、激辛にしちゃうから」と拗ねたように可愛く零す。
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