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気がつけば私は真っ暗闇の中にぽつんと一人たっていた。自分の姿さえ見えない闇の中に。
恐る恐る自分の手をかざす。その手さえ見えない。真の闇。
「誰か・・・誰かいませんか?」
声は闇に吸い込まれて消える。それは自分が一人きりであることをいやおうなく証明するようだった。
異常な事態に呪文のように同じ言葉を脳裏に刻み、私は何とか気持ちを落ち着けようと努力した。
これは夢だ。
これは夢だ。
夢だから大丈夫…。
だけど全然落ち着く気配はなく、体が震えているのが分かった。ただ暗いだけなのに怖くて仕方がない。
ウフフ…ナニガ?
ナニガダイジョウブナノ?
すぐ耳元で囁きが聞こえた気がして思わずびくりとなる。気のせいだ。怖いと思うから・・・怖いと思うから幻聴まで聞こえたりするんだ。
何とか自分を言い聞かせようとした。
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