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僕は背中に刺さる視線に気付かぬフリをして、咲樹さんに笑みを返す やっぱり、笑ってた方がいいよね?と思っての行動だったんだけど...一瞬、咲樹さんの顔が強張った 「ねぇ、あっクン....顔、引きつってる」 「.....え」 咲樹さんはポケットから水色の水玉模様の鏡を取り出し、僕に向けた え、何で鏡なんか持ってるの? 僕は疑問に思ったけど、今はどうでもいい事なので考えなかった事にした 「あー、ホントだ」 口端がピクピクしてた...だって、背中が半端なく痛いし寒いんだもん しょうがないじゃないか!!←開き直り 僕は誤魔化すように「ははは....」と尚も引きつったままで笑った そして、ふとある事に気が付いた 「そ、そー言えば...咲樹さん達はずっとここに居ますけど、平気なんですか?多分30分は経ってると思うんですけど、お仕事とか...」 一瞬キョトンとした咲樹さんは、少し上を向いて、 「.....えっ?あ、あぁ!!そーだった!!!戒璃ぃっ、仕事途中だったじゃん!!」 「......あ」 と、咲樹さんは真っ青になって、戒璃さんの方に駆け寄った すると今まで余裕の態度をとっていた戒璃さんまで真っ青になり、戒璃さんはまだ床に座ったままだったご主人様に掴みかかった 「おい、遙!!!そう言えば何の用事で俺達を呼んだんだ!?本棚から本を取る?新種の生物を見つける?老舗和菓子屋の大福が食べたい?」 えっ!?ご主人様いつもそんな事頼んでるのっ!!!!? って言うか、新種の生物って..... 僕は呆れて何も言う事が出来なかった
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