92383人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
自分のことながら意外と冷静だった。
よくある三流ドラマや漫画でありがちな状況だからだ。
一時的な記憶喪失。
男が電話をしてくれ、すぐにかけつけた両親とともに4人で医者の話を聞いた。
頭を打ったことによる軽いショックで一時的なものでしょう、といかにもという説明を聞きながら、優羽はぼーっと考えた。
両親のことはわかる。
ここが家から30分ほど離れたところにある河原病院だということも。
普通に考えてこの男の人は彼氏だよな。
しかも親が私の面倒を任せるくらいだから婚約くらいまでいってたりして……
この人のことだけ思い出せない。
いや違うこの怪我の原因もか。
「司君、一週間ずっとあんたのこと看ててくれたのよ。
なのに、なんで司君を忘れて。
全く恩知らずなんだから」
医者が説明を終えて出て行ったあと母が言う。
最初のコメントを投稿しよう!