479人が本棚に入れています
本棚に追加
確か出会ったのはお互い三歳ぐらいの頃か。
俺が近所の公園に一人で遊びに行くと、一人だけ先客がいた。
それがサヤだ。
サヤは寂しそうに、ブランコに独りで乗ってた。キーコ、キーコと小さく金属が擦れる音が聞こえてたんだ。
今でもはっきり思い出せる。
そんなサヤを見て俺は隣のブランコに腰を下ろした。
「君独りなの?」
俺がそう聞くとサヤは黙って頷いた。
そんなサヤに俺はニコッと笑い掛けると
「じゃあ、一緒に遊ぼ♪」
と言った。その言葉を聞いたサヤは凄く嬉しそうな顔をして、うん♪と言って笑ったんだ。
やっぱり一人で遊ぶより二人で遊んだ方が楽しくて、時間はあっという間に過ぎた。
気づけば周りは薄暗くなっていた。
それに気づいたサヤは急にわっと泣き出した。
「どうしたの?」
俺がそう聞くと、サヤは泣きながら
「夕方の間に、帰って来なさい。ってママとパパに言われたの。叱られちゃうよ。」
と言った。何だかそんなサヤを見てると、俺はとてもサヤがかわいそうに思って
「んじゃ、俺も一緒に行って叱られてあげる。そっちの方が怖くないでしょ?」
と言うと、サヤは黙って頷いた。俺はまたサヤにニコッと笑い掛けて、大丈夫!と言うとサヤの名前が気になって名前を聞いた。
「ねえ、君名前は?」
「紗香…」
「ん~覚えられない!サヤって呼んでいい?」
「いいよ。私はなんて呼べばいいの?」
「海斗。」
俺はそう言うと、サヤの手を掴んだ。そして、早く行こっ。と言うとサヤは黙ってついてきてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!