第一章 ~輪転~

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 結局は明文を疑うにしても、大なり小なりの無理が生じるのは明白だった。  そして何より……信じていた。  真の意味での『決定打』は、きっとコレなのだろう。  信じている事。  理央は、なんのかんの言って明文を信頼していた。  今回の事だって、何かの誤解だと言う事も、頭の中では分かっている。  根本的に不器用な生き方しか出来ない明文だ。  二股をかける様な甲斐性など最初からないだろうし、その度胸もない。 (厳密には要らない)  何より、日々の明文が浮気などしていない事を無言で証明している。  ともすれば、少しだけ自意識過剰かも知れないが、明文は自分の事を一番だと常に思っているし、その事実を揺るがす様な出来事にだって、ぶつかった試しがない。
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