第一章 ~輪転~

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 今に始まった事ではない明文としても、これでようやく本題に入れると、安堵混じりに会話の内容を変える。 「それよりさ?、今日はどうするんだ?」  言って間もなく、明文はポケットから水族館のチケットを出した。  この行為がどんな意味を持つのかなど、口で説明されるまでもない。  もっと言うのなら――。 「わざわざ口に出す必要があるの?」  理央は言う。  ちょっとだけ膨れた顔をしているが、目は笑っている。  怒り虫が退散している事は、彼女の口から言われずとて確認出来た。 「……ちょっと待ってて、もう一回、化粧し直して来るから」  所要時間は、推定一時間……。
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