第一章 ~輪転~

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「そのまんまでも、十分美人だぞ……?」  おべんちゃらをたっぷり含めて答えたろう明文の言葉は、一秒待たずして却下された。  ……こうして。  明文と理央の二人が水族館へと到着したのは、彼の知る過去からは大きく遅れた正午前ぐらいだったらしいが……余談である。      ●月曜日○  特に可もなく、不可もなく。  通常通りと言う感想でも軽く口にすれば、それだけで眼前の状況を全て言い切ったと答えてもハズレではない朝だった。 「ふぁ……ぁぁ……あ」  今日も今日とて朝が来た……その程度の考えが、まどろみ色した思考の中へと入って来る。  間もなくして緩やかな覚醒と同時に自室のベットから起き上がった明文は、普段通りに顔を洗って歯をみがき、毎朝の定番と言える順番で身支度を整えた。
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