第一章 ~輪転~

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 なんの事はない。  平凡な日常のヒトコマ。  休日以外の朝は、いつも同じ事をしている。  そして、それはこれからも変わらないのだろう。  ……いや、少し違うか?。 「明文ぃ~!」  玄関ドアを開けた所で声がした。  とっても聞き慣れた声だ。  声の主は理央だ。  理央は、ここから徒歩圏内の所にある書店で働いている。  書店は、明文が通勤で使用している駅のすぐ近くにある為、途中までは理央と一緒に通勤するのが明文にとって毎朝の常識になっていた。 「今日も時間ピッタリだね……変なトコ几帳面と言うか、なんか少しビックリするよ」  妙にひねくれた台詞を……しかし、何処か憎めない口調で言う理央。
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