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しかし、ブラッドの体には痛々しい傷が残こり血も少量出ていた。
「この魔法では臓器に付いた傷しか治せなくて…」
少女は申し訳無さそうに傷薬をブラッドの傷口に塗り包帯を器用に巻いていった。
「いや…ここまでして貰えれば十分だ…」
少女はレイヴァンが安堵の表情をしたのに気がつき、少女は自然に微笑む事が出来た。
少女は治療を終えたブラッドをレイヴァンに返すと、家の奥へと姿を消した。
「ブラッド…もうあんな無茶はするな…」
『ニャ…』
ブラッドもレイヴァンに心配をかけた事を気に病んでいるようだった。
「分かれば良いんだ…」
レイヴァンがブラッドの頭をクシャっと撫でていると、少女がスコップを持ちレイヴァンの後ろに立っていた。
「レイヴァンさん…お姉ちゃんを運ぶのを手伝って貰っても良いですか?」
「あぁ…
女……“さん”付けは止めてくれ…」
レイヴァンが照れるように少女から目を逸らすと、少女は小さく微笑んだ。
「シュナリア・M・ウェンハム
私の名前です
…――レイヴァンも“女”って呼ぶの止めてくださいね」
レイヴァンはシュナリアの急な自己紹介に少し驚いたが、いつも通り『あぁ』と言うと少し微笑んだ。
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