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―ジェイド国―
―ライ・クライ―
“神は万物を製造する聖なる存在”
ある古い図書館で白髪の老人が分厚く埃にまみれた本を引き抜いた。
他に誰も居ないのか、外で静かに雨が降っている音が館内に響き渡っていた。
「『神は皆を平等に造り出し、幸あるものに苦を差し出した。しかし、神の遊び心が故に数人の義と数千の悪を造り出してしまった。』」
本をパラパラと捲っていき途中で手を止めると、老人は思い出していくかのように本をゆっくりと音読していた。
「レイ……儂は信じておるよ
きっと…正しき道のために戦場に立つ鬼であると…――」
老人は静かに本を元の場所に戻し、木製の机の上に短剣を置き、椅子に座りユラユラと揺れながら眼を閉じた。
「お主が…儂の短い人生に光を与えてくれたように、山程の人々を幸せに導くことをな…――」
老人は椅子に深く座り、楽しそうに…懐かしそうに…一筋の涙を流れた。それと同時に椅子の揺れが止まり静かに穏やかな表情のまま、老人は息を引き取った…
それは、雨が止み、青空が見え暖かい陽射しが地上に降り注いだときだった。
享年 93歳
ライガン・D・モノボーン
彼の長い旅はここで終わった。
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