track.0 / プロローグ

5/6
前へ
/31ページ
次へ
―ジェイド国―   ―エメロード― 『エメロード駅…エメロード駅… お降りの方は、お忘れ物の無いよう お気をつけ下さい』  車体が抹茶色の列車がエメロード駅のホームに止まり、アナウンスの後にゆっくりとドアが開いた。  観光……という感じでは無いのだろう…  列車から降りてきたのは、頭の先から足の先まで漆黒に包んだ青年だけだった…  黒いサラサラの髪で、長さは肩を少し越えるくらいだった。  上半身は魔力を込められた黒い防弾服の上に、銀色のファーが付いた黒革のロングコートを着こなしていた。  下半身はブラック・クロコダイルの特別製のベルトに、一回り大きい黒い魔法銃と刃渡り18センチ程のサバイバルナイフと刀の納められてない鞘が取り付けられ、腰からぶら下がる状態だ。  ズボンは防弾服と同じ素材のもので、靴は防弾服より頑丈な素材で出来ており、靴底には鰐の牙をモチーフにした金属が取り付けられていた。  青年は列車がホームを出た後、回りを見渡して嫌そうな顔を見せた。 「嫌な街に着いたな…」  ボソッと呟くと、駅の外へ向かって歩き出した。  
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加