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この青年が『嫌な街に着いた』という意味は、駅の壁や柱に付いた鋭い爪痕を見たからだ。
幸い目立った血痕等は無く、死人という死人は出ていないらしい。
青年が駅から街の中に出ると辺りは暗くなり始めていて、街灯がポツリポツリと点いていた。
「今夜は冷えるな…」
青年は手をポケットに突っ込み、酒場の看板を見つけると足早に酒場の方へと向かった。
ギィ……
片手で戸を開けると同時に渋い音を響かせながら開いた。
「いらっしゃい」
カウンターからグラスを丁寧に拭くマスターらしい渋いく野太い声が聞こえた。
点々と酒を飲む人達が居て、アルコールの少々キツい香りが漂っていた。
青年はカウンターまで歩いていくと、椅子に座り落ち着いた。
「マスター…ウイスキー一杯とこの街の情報をくれ」
マスターは後ろの棚から、度数45℃程のウイスキーを取り出し、グラスに注いで青年の前に置いた。
「この街の情報か…始めて来たなら、この街の武装窃盗集団の話なんて知るわけ無いよな?」
「武装窃盗団…?」
青年は顔をしかめながらマスターと目を合わせていた。
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