track.1 / アイス・ドウター窃盗団

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 マスターは酒場の壁に貼ってあった、手配書を魔法で器用に剥がし青年の前にフワリと静かに置いた。 「ルベリエ・N・コルヴィン… D1級クリミナル 賞金額は3万ラフ この男が武装窃盗団アイス・ドウターのリーダーだ…」  青年は手配を眺めていた。 「欲しければやるよ… 店にはまだあるんだ」 「そうか…助かる」  青年は手配を三折りにしてコートの裏ポケットに滑り込ませた。 「後な…最近ハンター・ウルフが夜街の中を歩いてる目撃情報もあるぜ」  青年はハンター・ウルフの名前を聞いて駅の壁や柱の爪痕について納得した。 「そうか…色々と世話になったな」  青年はグラスの底に溜まっていたウイスキーを喉に流し込み、カウンターに50ラフを置いて立ち上がった。 「おい!30ラフ多いぜ」 「情報料だ…受け取ってくれ」  青年はマスターに言い残すと酒場を出ていった。  酒場を出ると寒かったのか、コートのフードを深く被り、手をポケットに突っ込んだ後、駅の方へゆっくり歩き出した。  
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