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「辻参謀!現状及び経過報告してくれ。」
辻参謀は満州駐留関東軍司令官梅津美治郎中将に向き直り、今日までの戦闘報告を始めた。
「さる、7月4日よりソ連軍の砲撃により始まった国境紛争について報告致します。」
「うむ。」
「虎頭、黒河の2方面は午前4時頃にソ連軍より砲撃を受け、満州里方面は午前5時頃にやはりソ連軍より砲撃を受けました。」
「ソ連軍の先制攻撃は間違い無いのだな?」
「はっ閣下!間違いありません。」
「うむっ、」
「砲撃は、黒河方面、虎頭方面がおよそ2時間、満州里方面がおよそ4時間、ソ連軍の動向と前前日、前日の航空偵察と同日の航空偵察から主攻を満州里方面と判断しました。第二師団、第二航空師団、第十六師団、第十四旅団、第二戦車師団、第二砲兵団の満州里方面軍に対し防衛戦を命下、ソ連軍の侵攻に対処させました。ここまではよろしいですか?閣下」
「続けてくれ。」
「ソ連軍の航空攻撃、地上第一波に対し、第二航空師団が対処これを撃破しました。第二波はありませんでした。」
「よし。」
「以降36時間はソ連軍に動きは無く、7月7日重爆撃隊によるシベリア鉄道アモレーエフ鉄橋を爆撃、これを撃破しました。同日アモレーエフ鉄橋への攻撃に対しての報復攻撃と思われる、航空攻撃と地上攻撃がありましたか、第二航空師団と第二戦車師団が中心となった部隊が反撃、ソ連側に多大な損害を与えました。以降、今日までの二週間はソ連軍の国境侵攻はありません。」
「うむ、判った。今後の作戦指導について何かあるか。」
「シベリア鉄道が不通でありますから、ソ連軍の極東への増援は難しいものと考えられます。海路からの増援に対しては、海軍が対処するものと判断します。」
「大本営統合本部は、今回の事変国境紛争は不拡大方針を取ると言うことだ。」
「大本営統合本部?」
「初耳か?大本営陸軍部と大本営海軍部が統合されて出来た。陸軍省、海軍省は残るが軍事行動については大本営統合本部が指導指揮するそうだ。」
「指導指揮をする!」
「陸軍、海軍単独の作戦はこれから出来なくなると言うことだ。陸軍、海軍がバラバラの作戦行動は資源の無駄使いに成るとのことだよ。」
「何処から出た考えでしょうか?閣下。」
「君が通った箱根大学だよ。」
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