戦火

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イギリス軍はベルギーフランス国境に兵を進めただけで、ドイツ本土には攻め入ろうは為なかった。 フランスは国民に過大な安心感を植え付けた、穴だらけのマジノ線に篭ったままこれまたドイツに攻め入ろうせず、奇妙な戦争は西部戦線に楽観的な推測を産んだまま、時間を浪費していた。 ドイツはイギリス・フランス両軍がドイツ国境を越えて、攻勢を架けて来ないと知ると、ノルウェーを占領大西洋への出口を確保し、ユーボートやポケット戦艦による、海上交通線の攻撃を始めた。 ソ連はバルト三国を力付くで併合さらに、フィンランドを占領していた。 ドイツとイギリス・フランスの戦場は大西洋が主戦場となり、ヨーロッパ大陸では睨み合いのままに終始した。ソ連はフィンランド占領後満州国境に軍の集結を始めた。 日本もそれに合わせるように、国内から満州国境に増援を派遣して、ソ連側の攻撃に備えさせた。 ソ連側は、日本の増援は無いと考えていたらしく、日本の増援はソ連側に一時的な行動の停滞をもたらした。 貴重な時間を得た満州・日本合同軍は、ソ連軍の推定攻勢面に十分な準備を整えることが出来た。 睨み合ったまま満州ソ連国境は冬を迎えた。 「九月に集まることできませんでしたね」残念そうに、海野が話し架けてきた。 「仕方ないよ、前と同じようにドイツがポーランドに侵攻したし、ソ連の国境集結が早い時期に始まった」 「前の歴史より半年早い!何故でしょう?原因が解らないが」 「満州油田の姓かも知れない。戦争では石油が必要だから、特に大陸型の軍隊を持つ、ソ連には喉から手が出るほどほしいだろう」 「満州は春になったら戦争が始まるのでしょうか?」 「冬の方が危ないと看てる。アムール川が凍ると戦車も渡れるし、何処からでも攻撃を始められる。」 「じゃあ今が一番危ないじゃないですか!」 「満州だって日本だって百も承知だよ、ソ連だって準備万端の所には、なかなか攻めることはしないだろう」 「じゃ、何時に成るんです?」 「攻勢三倍だからなぁ、もう少し軍の集結をするんじゃ無いのかなと思う」 「やっぱり春に成るってこと?」 「どうかな?夏が一番危ないと思ってるよ、移動も楽だし天候も安定してる。守る方は半年以上緊張してなきゃならない。疲れもでるし、来ないと憶測も出る」 「それって、一番危ないじゃないですか!」
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