戦火

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「軍曹、益子軍曹、来ましたよ。」 「ああ、見えてるよ。うじゃうじゃ出てくるな。」 「新選組一番より、各各。1500で各個に砲撃はじめ。」 「1500で砲撃はじめです。ちょっと、遠く無いですか軍曹。」 「こいつがカタログ通りなら、ちょうどいい距離だ。一昨日の時は飛行隊にいいとこ、持って往かれたからな。中隊長もカタログ通りか、知りたいんだろうよ。」 「距離、2000!」 「このFM無線感度いいですね。それに全車に付いてるし、車内電話も付いたし。もう、蹴ら無いでくださいよ。あれ、けっこう痛いんですから。」 「1500!」 「てっー!」 「11時、徹甲弾!」 「よし!」 「てっー!」 60口径75ミリの駐退機が発砲音と共に後退し、薬きょうを同時に吐き出す。 半自動化した車載砲は此までより発砲速度が格段に速く成った。 「よし!命中!」 BT戦車の車体に突きさった砲弾は、車内とエンジンルームを分ける隔壁をも貫通し、エンジンでとまった。 飛び散った破片は砲弾を誘爆させ、砲塔を吹き飛ばした。破片で斬り刻まれた、搭乗者は青白い火のうで火葬に為れる。 「二つ目行くぞ!徹甲弾!」 「てっー!」 12時から10時に移動していた、BTを狙ったが僅かに外れた。 「徹甲弾!移動目標には、もう少しナレがいるな。」 ゴォン、表面硬化65ミリの装甲板は、BT7快速戦車の45ミリ砲弾を難無く弾き返した。 「12時!てっー!」 「徹甲弾!ふたぁつ」 「てっー!」 掩体壕にスッポリ収まっている、九七式戦車にはいかなBT最終型でも、歯が立たなかった。 結局、ソ連軍は一昨日の時よりも多い残骸を残して、撤退して行った。 益子軍曹は6台のBT戦車と3台の装甲車を撃破した。 中隊正面だけで、戦車装甲車を合わせると、79両を撃破したことになる。 九七式戦車はカタログ通りの性能を遺憾無く発揮為てくれた。 「次は、機動戦で勝負して観たいもんだ。」 「軍曹、変なこと言わないでください。後ろから、撃たれたら終わりですよ。」 「こいつの速度で交わしてやるよ。」 「砲弾の速さには、叶いません。」
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