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家は商売をしている。
朝早いから、何となく察しはつくと思うが…。
新聞屋さんではない。
お仕事をしても給料はなかった。
受験勉強をするには、参考書がいる。私は東京で稼いだお金を下ろして、参考書を買った。
お仕事が終わり、早く家事を済ませてから、勉強をすることにした。夜に勉強していると、電気を切られるからだ。
ある日のこと。オカンの呼ぶ声が聞こえないほど集中していた私の所にオカンは怒鳴りこんできた。「呼んでいるのが聞こえないのか!バカ!」そして、オカンは参考書を取り上げ、ビリビリと破いた。
「今さら勉強して何になる!」「現役で落ちたんだよ!あんたは!」「バカ!」と言われた。
親に口答えをしたことのない私はただ黙って、下を向くしかなかった。悔し涙しか出なかった。
オカンが出て行ってから、破られた参考書をテープで貼り、涙が止まらなかった。
数日後、オトンが部屋に来て、ぼろぼろの参考書で勉強してる私を見て、びっくりしていた。
参考書にびっくりしていたのか、私が勉強していたからなのか、それは分からないが。
その年、私は高3のとき親に言われた大学を再度受験した。オカンの言葉が悔しかったから。
親には言わなかった。
合格した時に言おうと思っていたから。
合格発表の日、オトンが私に「受験番号は?」と電話をかけてきた。その日は相変わらず、オカンにこきつかわれまくっていた。
普通に○○○番と答え、電話を切った。どうしてオトンが知っているのだろうと思いながら。しかも、電話?どこにいるんだろう?
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