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そのままの足で放送室に向かった。
久しぶりに近付く職員室の隣にある放送室。
着いたのはちょうど佳美が出てくるところだった。
「お疲れさん。ちょっと話さないか?」
佳美はびっくりした表情を浮かべる。
「こんなとこまできて何の話?」
「ちょっと、話したくなってな」
「………まぁいいや。どうしたの?」
佳美は小さく息を吐いて俺の話に耳を傾ける。
「………俺さ………」
佳美のポニーテールの髪、程よく垂れた瞳、少し低い鼻、薄い唇、小さめの胸、ピアニストのように細くて長い指、そして高く澄んだ声。
そのすべてを1度流し見て、俺はついに言ってしまう。
長いこと秘めてきたその想いを。
佳美はどんな反応をするだろう?
考えてみれば、告白なんてされることはあってもするのは初めてだ。
ドキドキしっぱなしだった今日の中で、最もドキドキする瞬間。
「………俺さ、お前のこと、佳美のこと、すごく好きなんだ。だから、俺と付き合ってほしい」
俺の一世一代の告白に、佳美は目をまん丸にして驚いている。
ずいぶん迷っている佳美は、やがて口を開く。
「………それ、本気で言ってるの?………お兄ちゃん?」
ちょっと冷たいその声は、高く澄んだ俺の大好きな声だった。
fin
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