恋心

2/8
前へ
/8ページ
次へ
それは、俺が思春期を過ぎて間もない頃。 学校では人並みに勉強に励み、そこそこの運動センスがあったことでサッカー部のレギュラーにもなった。 好きでもなかったが、校内でかわいいと評判の女子とも付き合った。 初体験も何年か前の話になる。 俺自身の評判もはっきり言ってかなりよかったはずだ。 そうやって俺は身の回りのことを器用にこなしてきたつもりだ。 だが、それがある日めちゃくちゃに狂ってしまったのだ。 俺は、常人ではありえないほどの恋心を抱いた。 初めて人を好きになったのだ。 こんな歳になって、しかも何度も女子と付き合っては別れてを繰り返してきた俺が言うのはおかしいかもしれない。 なにを言ってるんだと思う奴もたくさんいるだろう。 何人かの友達は俺の話を聞いて大笑いした。 でも、好きになったものは仕方がない。 夢に毎晩のように出てくる。 いつもそいつを想わずにいられない。 そこまで好きになってしまったのだ。 そういう感情は、止められるものじゃないのだと初めて知ったのだ。 抑えられなくなったものは、頭でどう考えようとどうしようもないのだ………。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加