第零話

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ここはスレイア平原 何もない草と木だけのはずの平原にはたくさんの人がいた その人々は剣を振るい、魔法を放ち、敵対する人間たちを殺しあっている 互いの国を守るため、互いの国を支配するため 戦いあう人々、その中でも一際目を引く男がいた 彼の名はレイ・チェンバース 銀色の髪をし、戦場には不釣り合いな白いオーバーオールを羽織ったその男は向かってくる敵を射ぬき、己も血を欲し敵を殺戮していた 彼の背中には赤いラインが上と下に入った木製の矢立があり、そこには無数の矢が入っている。 そして彼の左手には弓幹が鉄をも弾くスチルアの木でできた長弓が握られていた 今、一人の戦士が彼に飛びかかった 戦士は剣を振り上げ、雄叫びをあげながら彼に斬りかかる 彼は弓幹で剣を止めると戦士ごと上にかちあげた かちあげられた際、剣を手離してしまった戦士は無防備で宙に舞う 彼は弓を構えると矢立から一本の矢をとりだし、弓を引いた 放たれた矢は真っ直ぐに鎧を貫き、戦士の心臓を射ぬいた 戦士の死体は矢の勢いに引っ張られて吹き飛んでいった そうして、彼は向かってくる敵から血を浴びる、服には無数の赤い斑点が浮かび、彼は再び殺戮を開始する
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