序章 始まりは出会いから

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しかし、あの人は俺の戸惑いに気付く事無く、「では明日からよろしくお願いします」と言い残し帰っていった。 望んで持った訳じゃない力が他人の役に立つなど考えた事は無かった。 それを喜んでくれる人がいる事など考えもしなかった。 本当は嬉しい筈なのに、心から嬉しいと思う事が出来ない。 この力は他人に……自分以外の人に迷惑をかけてしまうのではないかと思ってしまう。 誰にも迷惑をかけない為に俺は氷の仮面を被ったのではないのか……? 「俺は……」 ボソッと呟いた言葉は誰に届くのでもなく、風がさらって遠くへと持っていってしまった。
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