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……まどろみの中、目が覚めるとぼんやりとした世界にいた。
色や風景がやけに遠くに感じる場所で、それでわたしは此処が直ぐに現実ではなく、夢か何かの中だと気付いた。
目の前の風も無いのに揺らぐ白い影は何処か雫に似ていた。
此処にいる筈の無い、信じたい人物が此処にいた。
白い影はゆっくりとした動作で下を指す。
指した場所は寂しげな場所でそこの場所は私も知っている場所であった。
「鳥辺野……?」
わたしがそう呟くと白い影はうっすらと笑みを浮かべて頷く。
仇し野とも呼ばれる忌むべき場所だが、妖怪のたぐいは好む場所かもしれない。
そこにお前はいるのか……?
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