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「……私には何も出来ないかもしれません。けど……兄様は……兄様は……」
妹姫は僅かにしゃくりあげて、泣き始める。
わたしは後ろ頭を決まりが悪そうにかく。
どうにもこの姫に泣かれると、自分が泣かした気になる。
年齢の差がそう感じさせるのだろうか?
「……椿姫は本当に雫が好きなのですね」
目を閉じ、僅かに笑う自分が可笑しいのか、姫は泣き止んで、笑った。
それだけで罪の意識は晴れていく。
この姫は本当に雫が好きで、それだけの思いで此処まで来たのだろう。
危ないのに、見付かってはいけないのだからと、一人闇に溶け込む様な色の衣を纏い、駆け付けたのだろうか。
何て強い姫なんだろうかこの姫は……
……わたしにはあまりこの姫は理解出来ない。
自分とあまりに違う人だからだろうか……
考えても分からない事は考えない方が良いのだろうか?
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