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「……っ……はあはあ……」
「……」
幾度、交錯しただろうか?
それで自分は傷付いていくばかりに対し、雫は傷一つ付く事は無い。
雫の瞳に揺らぎは無く、光の無いその瞳はただ此方を見ているだけ、自分が映っているのかも分からない。
言い訳するつもりは無いが、わたしの後ろには黄玉様に椿姫がいる。
この二人を傷付けさせる訳にはいかないから、此処を動く訳にはいかないし、此処を通す訳にもいかない。
二人を守る為には自分が盾になるしか無いのだ。
二人は自分が作った結界の中に入っている。
今の雫にはそれを破るのは容易いだろう。
だからこそ……此処を通す訳にはいかない……!!
「……はあっ!!」
気合いと共に放つ霊力は雫の太刀で壊される。
雫はそのまま、突進してくる。
自分の後ろには二人がいるから避ける訳にはいかない。
それに雫を助けるたった一つの策がある。
命をかけて行う策が……
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