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太刀が胸に刺さる瞬間、ほんの僅か体をずらして太刀を肩に刺さる様にする。
「ぐ……あ……」
激しい痛みが体に走るが、此処で意識を失う訳にはいかない。
これが最後の賭けなのだから。
「この距離なら……逃げられまい……」
そっと雫の額に人差指と中指をくっつけて置く。
「ぐ……あああっ!!」
それをしただけで雫は苦しみの声を上げ、上体を大きく仰け反らせる。
雫の背後に見えるのは、艶やかな女性。
「……何の因果で雫にとりついたのかは知らない。……我の友人に憑いたのが運のつきだ。成仏してくれ」
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