開演

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私は普通と言えば普通な子だ。 それなりにいろんな事は出来るがあえて特技なんて物はない。 高校を出た後、親が進めた大学に進学して、親が進めた会社に入った。 親の言いなりとよく言われたけど、私は、面倒なだけだった。 反発するほどの夢もなかったし、自分の未来を人が決めてくれるのは楽な事だと思っていた。 「奈穂【なほ】ちゃーん。支度出来た?」 優しそうな声で母が階段の下から私に呼び掛けた。 「うん。もう少し。」 母とは違う少し低い声で私は答える。 帯を少しだけキツく締めた。
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