17人が本棚に入れています
本棚に追加
暗く、寒く、冷たい沼の底へ沈んでいくリベラルに、一筋の光が射す。
白銀の光。リベラルは光に向かってゆっくり手を伸ばした。
「──、おい!いい加減起きろ、リベラル!」
ぼんやり目を開けてみると、見慣れた無愛想な顔が目の前にあった。
「…リック…?あれ、僕は…」
身を起こし、辺りをきょろきょろ見回す。何のへんてつも無い自分の部屋だ。
任務から帰り、バジルに任務完了の報告をした事は何となく記憶しているが、その後の事は全く覚えていない。
「ったく、報告書も書かねぇで眠りこけやがって。ほら、拭けよ。汗だくだぜお前」
リックはぶつぶつ文句を言いながらタオルを放り投げた。
「ありがとうございます」
リベラルは顔を拭いて、重い腰を上げた。
「──それで、貴方は何故ここに?幾ら相方とはいえ、人様の部屋に勝手に入り込むのは関心しませんね」
「……あのな、そう言うお前こそ前に俺の部屋に勝手に忍び込んで部屋に色々仕掛けたり、寝てる俺の顔に落書きしたろうが」
あれ、そうでしたっけ?とさほど悪びれる様子もなく、テーブルの上に置いてあった飲みかけのレモンティーを飲み干した。
「ったく。あのガキ共に後でお前と一緒に研究室まで来いって言付けされたから、わざわざ伝えに来てやったってのに…」
最初のコメントを投稿しよう!