沖田という男の話

4/13
前へ
/239ページ
次へ
「沖田さんねぇ」 う~ん、と蔵之助。 「爽やかな人だよな。表向きは。」 「何だ、その含んだような言い方は。素敵な方じゃないか。あんなに若くして、副長助勤、天然理心流塾頭なんだぞ、あの人は。」 熱烈に語る八十八。 八十八は沖田に好意を寄せているようだ。 「もちろん、沖田さんはすごい人さ。誰だって憧れる。…でも、やっぱり恐ろしいと思う時だってあるだろ。」 「それはお前、自分が刀が下手だからじゃないのか。確かに沖田さんは、剣道に関しては厳しいところはあるが…」 「そうそう、"刀で斬らず、体で斬れ!!!!"だもんな 」 沖田の真似をしてみせる蔵之助。 「でもな、おれが言ってるのはそういうことじゃないんだ。」 「どういうことだ。」 いきなり神妙な面持ちになった蔵之助の態度に、怪訝な様子の八十八。 これは何か知れそうだ、と吉岡も耳をそばだてた。
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

925人が本棚に入れています
本棚に追加