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「往診、と言ったかね。土方君。」
かしこまって聞き直す近藤。
「ああ、あれか。診療所に若い女子がいて、総司が熱を上げている、と。そういうことか。」
違います。少々呆れ顔の土方。
「そうではありませんよ。総司の咳の事です。あいつ、何かの病気なのではないですか。」
「あいつの咳は昔からだ。」それに、そうだとしたら山崎君が教えてくれるだろう。と近藤。
「山崎君にも教えていないのではないですか。心配をかける位なら、と思っているのでは。総司の奴はそういう男です。」
「そんな訳ないだろう。総司にとってもおれ達新選組は家族も同然。そんな遠慮をするか。総司はまだ子供だ。」
「そうでしょうか、近藤さん。あんた少し総司を子供扱いしすぎな気がしますぜ。」
総司はもう大人ですよ、と土方。
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