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池波診療所に、若い男が一人。
「すみません、先生はおられますか。」
診療所近くで遊ぶ小さな子供達は、先生の代わりに答える。
「蔵之助兄さん、先生なら今ちょうど買い物に行ってるよ。」
「そうですか、困ったな。」
腕を組みながらその場にたたずむその男は、佐々木蔵之助を名乗る沖田総司だ。
この1ヶ月、診療所の周りでは佐々木の名を借りて通していたため、子供達の間では"蔵之助兄さん"で親しまれている。
「今日は往診の日じゃなかったからなぁ。」
診療所の前で、どうしようかなぁと考えていると後ろから声をかけられた。
「何かご用ですか。」
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