コロちゃんとはなシタイ

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私は立ち止まった。 「おわった…。」 そう感じたのも束の間、うさぎ達はいっせいに私を見上げた。 「人間よ!」 「人間がいるわ!」 「ぼく知ってるよ!この人は死刑なんだ!」 「猿を虐待したんだってよ!」 「虐待ですって!」 「殺される!」 「助けて!死にたくない!」 うさぎたちはそれぞれにそう言うと、蜘蛛の子が散るように逃げ出した。 助かったのか? 私はゆっくりと歩き出した。 あの人型のうさぎは追って来ない。 広い運動場に出ると、さっきまで溢れかえっていたうさぎはどこにも居なかった。 体育館の裏にも何も居ない。 ただ、強いて言うなら。 二階の廊下の窓から、最初に出た人型うさぎがこちらを見て居た。 やばい。 私は震える足を無理矢理動かして走り出した。 校舎の死角にあるドラム缶に体を押し込んでやり過ごそうとする。 「あれー?あれー?人間がいない…人間がいない…。」 さっきのうさぎの声だった。 窓から飛び下りでもしたのか…、追いかけて来るスピードが尋常じゃない。 「死刑なのに…死刑なのに…。」 少しずつ声が遠のいていく。 その時、私のズボンのポケットから携帯が鳴り出した。 …メールだ。 というか、電源切っておけばよかった…。 「音がした!音がした!どこから?どこから?」 うさぎに聞かれたのだ。 勘弁してくれ… 私はそうっと携帯を開くと、来たばかりのメールを見た。
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