赤ずきん

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「なぁ」 暫く歩き、村が見えなくなった頃、男の方が横に並んで歩く女に声をかけた。 「なあに?」 「本当に良かったのか?何も言わず」 なんだ、そんなことか。 女は心中で思わずそう考えた。 男は男なりに気を使ってくれたようだが、そんなのは生憎無用だった。 「言いたいことは伝えられたからもういいの。それに、村の人が知っていた少女はもうどこにもいないわ」 「……」 男は何も言わない。 「私は二度と“私みたいな”人を出さないためにこうして旅をしてるの。だから私は私が選んだこの道を行くだけ。そうでしょう?」 「……ああ」 風が女のフードを巻き上げる。 その下から覗くのは女が持つにしては不釣り合いな大剣。 「私は、戦う事を選んだのよ」
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