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昔のことである。
ある村に少女と母親が住んでいた。
ある日のことだ。
母親が遊んでいた少女に声をかけた。
「お祖母ちゃんね、具合が悪いのか連絡がつかないのよ。悪いけれどお見舞いに行ってくれないかしら?」
ここでいうお祖母さんは少女の祖母にあたり、村の近くにある森の奥に一人で暮らしている。
「構わないわ。じゃあ日の高いうちに行ってくるわね」
少女は嫌がるでもなく了承すると、母親からパンと葡萄酒の入ったバスケットを受け取った。
それから少女はお気に入りの白い頭巾を被ると母親に向き直ると、
「もし遅くなりそうだったら一泊するわね。じゃあお母さん、行ってきます」
そう告げ、手を振り、出掛けていったのだ。
「気をつけてね」
「はーい」
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