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油断していた青年はバランスを崩し、そのままベッドに倒れ込んだ。
少女は馬乗りになると、青年の首に細い指を絡ませた。
「ねぇ、私を助けてくれた猟師のような狼のお兄さん。私を助けてくれたみたいなんだけれど、私このままだとあなたのことを殺してしまいそうだわ」
泣いてるのか笑っているのか、少女の声は荒れていて、揺れていた。
が、対する青年の言葉は静かだった。
「殺せばいい。それで君の気持ちが晴れるのなら」
その静か過ぎる返答に、カタカタと指を震わせながら力を込めようとしていた少女は思わず問いかけていた。
「…なんで抵抗しないの?」
さぁ?と青年も疑問形でかえしてきた。
「抵抗する理由がないからだろうか?」
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