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「大沢雄二さんて、バンド組んでたんでしょ」 「そ」 「どうして、あんな急に解散したんですか?」 「音楽制の違い、それだけ。色々言われてるけどね」 「あ、安積さん取り合ったとか……」 「嘘よ。週刊誌が勝手に書き立てただけ」  火のない所に煙立たせる事に掛けちゃ、あいつらは世界一だな。 「大沢さん、普段はどんな感じですか?」 「別に、テレビと変わりはないけど。あ、仕事部屋は物凄い状態」 「レコーディングが近いと、もう部屋も本人もすごいのなんの」 「お仕事ですからね……」 「ストレス溜まって、煙草吸いまくり。禁煙なんて何回したか」 「煙草やめるのは大変ですからね」 「あなた、趣味は?」 「お料理に、お掃除に……」 「それは仕事でしょ」 「そう思う様にしてます。自分の時間て、あまり無いですから」  何? あの女、そんな朝から晩まで働かせてるの? 「そんな、お休みの時間もあります。今は安積さんもいるし、割と楽しいです」 「そうね、私もひろみさんがいてよかった」  そうして、私達はクスクス笑った。  ひろみさん、私がここから出て、あなたが警察に捕まってもこんな関係でいようね。  あなたが前科一犯になっても私、全然気にしない。だって私は……。  ドアがいきなり開く音がして、振り返った。
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