その部屋

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 ……頭が、痛い。  吐き気もする。なんだか、もやもやしている。どうしたんだろう。  何だろう、視点が合わない。右側に目をやった。白い壁がゆらゆら揺れているみたいだ、カーテンみたい。  地震? それにしては様子が変だ。体が鉛みたいだ、動けるだろうか?  右手を上げてみた。動けるみたいだ。変な気分だ、夢の中にいるみたい。夢なのだろうか?  でもどういう訳か、夢ではないと言う感じがする。  少し、目が慣れてきた。カーテンだった白い物は壁紙に変わった。  私、そんなに飲んだっけ?  頭痛が少し、治まった。また壁に目をやる。白い壁。白……?  私はガバッと跳ね起きて、周りを見渡した。  花柄の布団カバー。ほとんど白に近いピンクのシーツ。  白い壁。私の向かい側の右の方に、ドアがある。リースの様な物が飾ってある。  ベットの脇に、小さなテーブルがあった。  ティッシュと、グラスとコップ。チェストの上CD、時計。あれは何? テレビゲームみたいだけど。  カーペットは、薄いピンク。あまり高級な物ではなさそうだ。よく見ると、チェストの隣に小さなテレビがある。  リースのドアの隣に、小さな冷蔵庫があった。六畳一間の一人暮らしのアパートによく置いてあるような、小さな冷蔵庫。  テーブルは、マーブル柄の白い、綺麗な物だったよく見ると、この部屋の物、みんな新品みたいだ。  そして私は気が付いた。窓が無い。  天井を見上げた。何か音がすると思ったら、エアコンの様な物が張り付いている。  空気清浄気? 窓が無いのに、空気が悪い様な気はしない、気分はあまり良くないけど。  そして私は、どんなアパートにも家にもマンションにも無い、不自然な物を見つめた。
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