136人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
……頭が、痛い。
吐き気もする。なんだか、もやもやしている。どうしたんだろう。
何だろう、視点が合わない。右側に目をやった。白い壁がゆらゆら揺れているみたいだ、カーテンみたい。
地震? それにしては様子が変だ。体が鉛みたいだ、動けるだろうか?
右手を上げてみた。動けるみたいだ。変な気分だ、夢の中にいるみたい。夢なのだろうか?
でもどういう訳か、夢ではないと言う感じがする。
少し、目が慣れてきた。カーテンだった白い物は壁紙に変わった。
私、そんなに飲んだっけ?
頭痛が少し、治まった。また壁に目をやる。白い壁。白……?
私はガバッと跳ね起きて、周りを見渡した。
花柄の布団カバー。ほとんど白に近いピンクのシーツ。
白い壁。私の向かい側の右の方に、ドアがある。リースの様な物が飾ってある。
ベットの脇に、小さなテーブルがあった。
ティッシュと、グラスとコップ。チェストの上CD、時計。あれは何? テレビゲームみたいだけど。
カーペットは、薄いピンク。あまり高級な物ではなさそうだ。よく見ると、チェストの隣に小さなテレビがある。
リースのドアの隣に、小さな冷蔵庫があった。六畳一間の一人暮らしのアパートによく置いてあるような、小さな冷蔵庫。
テーブルは、マーブル柄の白い、綺麗な物だったよく見ると、この部屋の物、みんな新品みたいだ。
そして私は気が付いた。窓が無い。
天井を見上げた。何か音がすると思ったら、エアコンの様な物が張り付いている。
空気清浄気? 窓が無いのに、空気が悪い様な気はしない、気分はあまり良くないけど。
そして私は、どんなアパートにも家にもマンションにも無い、不自然な物を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!