その部屋

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 部屋を遮っている、黒い物。鉄格子。  鉄格子の向こうに、ドアがある。よく見ると、鉄格子に小さい扉と、大きい扉。  ベッドを出た。立ち上がるとフラフラする。歩くとよろめく。  鉄格子を両手で掴んでみた。ビクともしない。  ……ここ、どこなの?  何がなんだか、分からない。これ、やっぱり、夢……?  リースのドアを開けてみた。洗面所。半透明のドアを開けた。ユニットバス。よく見ると、シャンプーとコンディショナー、ボディシャンプー、洗面所にはコップと歯ブラシ、歯磨き粉。美容液、洗顔フォーム、ドライヤー、ブラシ。  ……何なの? 私、どうしたの?  痛む頭を抱え込み、一生懸命思い出そうとした。  雄二にデートすっぽかされて、かなり頭に来てて。部屋に帰って、テレビ見てビール飲んで。  それから、どうしたんだっけ?  そう、そのまま寝たんだ。それから?  私は立ち尽くした。記憶がない。どうして? 私、どうしたの? どうしてこんな所にいるの? 自分で来たの? 何のために?  何なの? これは……。  ドアが開く音がした。  元いた部屋に行ってみた。
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