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「旋風、そっちの二人はどうだ?」
「そんなに弱い体じゃねえよ」
「なめるのもいい加減にしてほしいな」
ウォスリスの呼びかけに答えたのは雷と荒の二人だった。旋風は肩で息をしながら呟いた。
「…意外としぶとい奴らだ」
「意外とはなんだ。意外とは」
「鎌鼬も度が過ぎると誰でも感じることが出来る」
「…では、数ではどうだ」
旋風は再び風を集めようとすると、今まで無視されていたウォスリスが口を挟んだ。
「旋風、力を余り過信するな。こいつらの仲間、捕獲したから一緒にいたぶる?」
ウォスリスは軽く武を持ち上げた。すると、肩に開いた傷口が広がり武は苦悶の表情を浮かべた。
「くっ…」
肩を貫かれているので、手に持っていた紙はいつのまにか地面に落ちていた。肩からは血が流れ、腕を伝って足元を濡らしている。
「ウォスリス、武を解放しろ!」
「ふんっ、散々馬鹿にしてきた奴を誰が離すか」
ウォスリスは遼の叫びを聞き入れず、さらに武を持ち上げた。
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