22人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぁ…」
錐が武を貫く瞬間、辺りが光りに包まれた。そして、急激な冷気が風となり吹き荒れた。
「何だよ、これ!」
「何かが暴走しているんだ」
「旋風、風をどうにかしろ」
「俺では制御できない」
口々に叫んでいると、急に風は収まった。
「…武?」
遼は風の中心に立っている人影を確認したが、武と断言ができなかった。
「………」
中心に立っていた人物は肩まで伸びる黒髪に、黒いチャイナ風の礼服を着ていた。彼は虚ろな眼で空を見上げていた。そして、遼の呼びかけが聞こえたのか、遼を見てうっすらと笑みを浮かべた。
「なんで、生きているんだ!」
ウォスリスは癇癪を起こし、彼に錐を向けた。しかし、それは彼に触れる直前に凍り砕け散った。
「なっ…」
「馬鹿だ。俺に『水』を使うとは…」
彼は呟きながらウォスリスを見る。
最初のコメントを投稿しよう!